香港のIT事情
平成12年6月、CICC シンガポール
香港はシンガポールによく似た町であるが、それより若干騒がしい印象を受ける。町中を走るバスやトラムの車体には、いわゆる「.com企業」の広告が目立ち、ここでもIT企業が雨後のたけのこのように発生している様子がわかる。
香港政府は、1998年11月に21世紀に向けたデジタル化戦略である「デジタル21」を発表。その具体的アクションプランとして、「サイバーポート・プロジェクト」を1999年3月に公表して、現在その準備を着々と進めている。サイバーポートプロジェクトは、シンガポールの「IT2000」、マレーシアの「MSC(マルチメディアスーパーコリドー)」等を倣ったものであり、香港をアジアのITハブとするための戦略である。
香港政府は、1998年4月に、IT推進担当省としてITBB(Information Technology and Broadcasting Bureau)を新たに設立し、IT、通信、放送関連分野政策の政府関連部局の連携による政策推進を図っている。ITBBの配下にはITSD(Information Technology Service Department)という下部組織があり、具体的活動はここでオペレーションしている。又、ITBBの活動を支える組織としては、ITアドバイザリー委員会(IIAC)も同年8月に設置されている。
香港の基本的IT政策は「デジタル21」であり、サイバーポート・プロジェクトもこの基本的考え方に沿っているものである。従来のIT政策(デジタル21発表前:1998年12月以前)は、工業団地の設置などに留まっており、通信インフラも民間セクター任せ(香港テレコムの独占)であったと言える。但し、ITの流れや技術革新は非常に早く、「デジタル21」という戦略も見直しが必要であると香港政府は認識しており、随時見直しをしているとのことである。
IT分野に関し、香港で活動するメリットについて、香港ITBB(Information Technology and Broadcasting Bureau)に確認した所、以下の通りであった。
1) 通信インフラが整備されていること
2) バイリンガル社会(中国語、英語)であること
3) 情報の流れが完全に自由であること
通信インフラが整備され、それが活用されていることを示す良い例として、中国広東省のInformation Centerのミラーサーバは香港に設置されているとのことであった。
(目標)
21世紀に向けたグローバル化の中で香港が世界をリードするデジタル社会を作り上げるため、香港の情報インフラやサービスを高度化、発展させる。
(民間企業やコミュニティ、その他政府関連部局と連携してこれを進める)
(率先して取り組む分野>
1) 高速広帯域通信システム
−通信インフラ
−ESD(Electronic Service Delivery)インフラ
−アジア太平洋地域のインターネットハブ
2) 安全な電子商取引実現への共通ソフトウェア・インターフェース
−中国語インターフェース
−PKI
−規制、法律
−2000年問題
3) IT人材育成
−IT教育
−IT技術者の供給
4) 創造性を刺激する文化的環境、IT利用を促進する環境の整備
−政府におけるITの利用促進
−TV市場
−アジア太平洋インターネットコンテンツハブ
−中国語によるアプリケーション
−IT産業支援
−ITへの投資拡大
−ITエクセレンス
−IT、情報サービスの普及啓蒙
−ITコミュニティの実現
いくつかのIT施策が実施または検討されているが、やはり最大の目玉はサイバーポート計画である。その他、R&Dの推進としてサイエンスパーク構想も具体化が進んでいる。
a) サイバーポート:ITコミュニティの創出
b) 情報インフラ諮問委員会:ITインフラ面で政府への助言
c) 技術革新資金:政府設置のベンチャーキャピタル(資金50億HKドル)
d) サイエンスパーク:R&D
e) シリコンハーバー:半導体製造設備開発
−香港ではなく、上海への立地が確定したとのこと。本構想を立案したH&Qアジアパシフィックが要求していた優遇税制措置を巡り、香港政府と折り合いが付かなかった。(香港政府は交渉継続中と発表している)これは純粋な民間事業との位置づけ。
f) 電子交易条例:EC法設置
g) 公開鍵インフラ:ECに必要な暗号技術開発
h) 電子サービスデリバリー:公共サービスの電子化
その他、資金面でのIT産業支援プログラムがある。最近開始したプログラムは、「Innovation and Technology Fund」、予算は50億HKドルである。この基金については、既に第1回目の募集が終了し、現在審査中となっている。夏頃に第2回目の募集が実施される予定である。
1998年度政府のIT関連支出高はHK20億2800万ドルであり、公務員1000人に対するPC普及台数は424台(1999年12月末)となっている。
【香港政府のIT投資額の推移(HK百万ドル)】
|
年度 |
投資額 |
年度 |
投資額 |
|
1989/90 |
364 |
1994/95 |
1065 |
|
1990/91 |
824 |
1995/96 |
1342 |
|
1991/92 |
768 |
1996/97 |
1646 |
|
1992/93 |
610 |
1997/98 |
1871 |
|
1993/94 |
910 |
1998/99 |
2028 |
【公務員1000人当たりのパソコン台数】
|
年度 |
台数 |
|
1992 |
77 |
|
1993 |
110 |
|
1994 |
170 |
|
1995 |
219 |
|
1996 |
305 |
|
1997 |
369 |
|
1998 |
406 |
政府サービスの情報化であるESD(Electronic Delivery Service)は今年10月までに第1弾を開始する。税の還付サービス、住所変更や免許書き換えのオンライン化等々。第1フェーズでは、10省庁の関連サービスがオンライン化される。パソコンを所有していなくても、オンライン行政サービスの恩恵を受けられるように、インフォメーションキオスクを公共の場に設置する。ESDの認証サービスについては、既に2000年1月から事業を開始している香港ポストが担当する予定である。
このESDは、ITBBの下に組織されているITSD(IT Service Division)が担当している。
ITSDは1989年に設立された。1999年7月に、ITSD内にInformation Technology Solution Centre(ITSC)が設置されている。政府部局全体の情報化の中核組織となっている。
ITSDでは、これまでに、移民局、国税庁、法務省、土地登記局、法的支援局、社会保険局、水道局などの情報システムの開発を手がけている。
主な、政府部内用のITシステムの開発計画は次のとおりである。
a) Government Office Automation(GOA) Programme and Enhancements
政府職員へのPC普及、中国語のワ−プロ、電子メールシステム、事務システム化を総合的に進めるものである。2000年末には完成する計画である。
b) Central Cyber Government Office (CCGO) Initiative
政府のウエブ、ポルタルサービス、電子図書館、ウエブによる教育環境創出を目的にしている。
c) ITSD Central Computer Centre Services
政府の情報システムの中核センターである。3箇所のコンピュータ・センターからなっている。
2000年中に実施されるESD(行政サービスのオンライン化)では、香港政府はオンライン化により24時間サービスを歌う。第1フェーズをハチソン・テレコム傘下のハチソン・コミュニケーションズと米コンパックの企業連合「ディンボ・スター・インベストメント(ハチソン:85%、コンパック:15%)」が落札している。
実施予定のESDサービスは、
(1) 個人の税金申告
(2) IDカード申請、受領
(3) 運転免許証更新及び車両登録申請
(4) 有権者登録
(5) 各種料金支払い
求人情報の問い合わせ 等々
2000年1月5日、電子商取引条例(Electronic Transactions Ordinance)が可決、発効された。大きな枠組みは電子文書、デジタル署名も法的効力を認め、認証局のフレームワークを確立したことである。
認証局については、政府は民間企業による認証サービスの拡大を第1とし、同条例の下では情報技術サービス局(Information Technology Service部)への登録制度とした。これは政府による規制を最小限に止めたもので、あくまでもボランタリーな制度となっており、評価に値するものである。従い、登録無しでも認証業務を行うことは可能であるが、登録済みの認証機関(Recognized CA)という表現は使えない。登録の有効期間は2年間で延長も可能である。
政府は登録を受け付け、登録を承認するに当たり、以下の点を考慮する。つまりは、条件を満たさない機関は、登録を許可しないこともあり得るということである。
香港で初めて登録された認証局は香港POSTであり、現在登録済み認証局は同社のみであるが、既に、数社(2-3社)が登録申請済みで、年内にはサービスを開始するものと見られている。
@香港ポストのCA業務
2000年 1月31日に香港初の認証機関として、政府へ登録され、認められた。同社の証明書サービスは4タイプに分かれる。
−個人 年間料金(150HKドル)
−組織 年間料金(150HKドル)
−サーバ 年間料金(2500HKドル)
−Encipherment 年間料金(150HKドル)
現在、証明書発行は英語のみのサービスであり、中国語は認識できない。
産業界に対しては、中小企業に対するEC普及を重視した活動を行っている。その推進母体となっているのが、香港生産力促進局(HKPC)と香港コンピュータ協会であり、ローカル企業のEC化促進を図るため、中小企業に特化したe-ソリューションの開発、セミナーや講演会等の普及啓蒙活動、コンサルテーション活動等を実施している。HKPCの概要については後述する。
1999年3月3日の香港政府予算演説の中で、「サイバーポート」プロジェクトが発表された。香港島西部、Telegraph Bay in Pok Fu Lam、26ヘクタールの土地に、2007年までにハイテク産業基地を建設するというものである。テレグラフ湾という名前は、香港で初めて海底ケーブル(国際)がシンガポール、ベトナム、フィリピン、中国本土と接続された場所であることに由来している。サイバーポートプロジェクトは、大きく分けて、「サイバーポート部分」と「住居部分」の2つに分かれている。サイバーポート内には、光ファイバーや広帯域通信設備を備えたオフィス、住宅、商業施設、レジャー施設等を整備する。共有設備としてはサイバー図書館、マルチメディア研究施設、情報サービスセンター、デモンストレーションセンター、展示会開催会場、大学や研究所とのインターフェース等が2003年末までに設置される予定となっている。住宅部分はまさしく住宅のみで、2004年〜2007年に建設予定である。
開発は3フェーズに分かれ、2001年末から2002年初頭、2002年末から2003年初頭、それ以降となっている。完成時には、約30社の大中企業(従業員数100-500名程度)、約100社の小規模企業(従業員50名前後)を誘致する。既に、15社が意向書にサインしており、登録は120社前後(海外から31社)に上っている。登録は香港企業が主体であるが、意向書提出は名だたる外資系メーカである。マイクロソフト、レジェンド、CMGI、ソフトバンク、光通信、SGI、シスコ、IBM、PCC、オラクル、サイベース、ヤフー、華為、HP、ポータル等である。2000年下期までには第1段階の進出企業のためのアプリケーション手続きをまとめる予定である。インフラ整備は1999年9月から着工しており、道路や電気、上下水道等の公共設備から建設が始まっている。サイバーポート完成時の同地域の人口目標は、労働人口12000名、居住者10000名を見込んでいる。
サイバーポートプロジェクトを管轄する政府部局、サイバーポート部がInformation Technology and Broadcasting Bureau(ITBB)内に、1999年7月に設立された。又、香港サイバーポートDevelopment Holdings社が具体的な管理会社となり、サイバーポート部分管轄の香港サイバーポート・マネージメント社と、住居部分を担当する香港サイバーポート(Ancillary Development)社の2子会社により実際には管理運営される。
既に全ての商用ビル及び80%の家庭に広帯域通信設備が設置済みで、海外とのバックボーンは合計で44.1Gbitとなっており、アジアでは日本に次いで2番目、2002年迄に300億HKドルを投資してこれを10倍まで拡大する予定である。HKをインターネットトラフィックのハブとし、中国へのインターネット及び通信需要のゲートウェーとなることが目標である。
インターネット利用者数は212万人(2000年3月末現在)。しかし一説によれば、121万人の登録者というデータもある。インターネット・サービス・プロバイダー事業は基本的に自由であり、現在のISPは135社。一部ISPはインターネット接続の無料サービスを開始したが、これに全てが追随するかどうかは見えない。インターネット接続を無料化したのは、シティテレコム、スマートーン等だが、スマートーンは同社のショッピングモールで月額68香港ドル以上の買い物をした場合に接続料金を無料とするものとなっている。
通信インフラの発展にはOFTA(電気通信管理局)の1993年の設立が大きく影響している。OFTAは競争奨励製作を取り、通信インフラの供給は増加した。次のKEY開発技術は第3世代の携帯電話関連技術で、香港では来年始めにライセンスを発行、来年末までに事業開始することで現在準備を進めている。
[固定通信事業]
固定回線、国際回線を長年独占してきたのは香港テレコム(C&W HKT)であるが、1995年6月に固定回線は3社に新規免許が付与された。しかし現時点では97%近く(契約回線シェア:推定)のシェアをHKTが占めており、未だ独占に近い状況。これは回線敷設のコスト高が大きな要因。その他3社は、
1) ハチソン・コミュニケーションズ(地場財閥ハチソン・ワンポア100%出資)
2) ニュー T&T 香港(地場財閥Wharf Holdings100%出資)
3) ニューワールドテレフォン(地場財閥 ニューワールドデベロップメント80%出資)
2000年以降は域内無線固定電話(FTNSサービス/WLL:ワイヤレス・ローカル・ループを利用)事業が自由化された。日本のNTT同様にHKTに対する接続手数料支払いが非常に高いが、WLLの導入によりコスト削減が可能。但し、問題は建造物や暴風雨による電波障害。2000年1月18日にFTNS免許を5社に付与。申請は14社あった。
無線FTNS免許取得企業:
1) スマートーン・モービル・コミュニケーションズ
2) イースター・テクノロジー
3) PSIネット・香港
4) 香港ブロードバンド・ネットワーク
5) 香港ネット・テリジェント・カンパニー
[国際通信事業]
1999年1月に国際電話サービス(国際再販サービス)が自由化されるまでは香港テレコムの独占状態であった。開放前の国際電話サービス事業者は以下の通り。
1) C&W HKT(シェア54%)
2) シティ・テレコム(独立系:シェア17%)
3) ハチソンコミュニケーションズ(財閥ハチソンワンポア100%出資)
4) ニューT&T香港(Wharf Holdings100%出資)
5) ニューワールドPCS(ニューワールドデベロップメント80%出資)
2000年1月からはこれまでHKTが独占していた対外通信設備を設置することができる免許(日本流に言えば第1種電気通信事業者)も開放された。1月時点では衛星による域外FTNS事業免許が開放され、12社が新たに免許を取得した。申請は20社。これにより、これまで高額な接続料を支払っていた国際電話サービス会社は、自前で回線敷設が可能となり、また回線リース事業も可能となった。
衛星による域外FTNS事業免許
1) ハチソン・テレコミュニケーション・テクノロジー・インベストメント
2) NTTコムアジア
3) パシフィック・センチュリー・マトリックス(HK)
4) PSIネット香港
5) テレグローブ香港
6) CHINAデジタルサットネット
7) アジア・サテライト・テレコミュニケーションズ
8) CTIインターナショナル
9) ミリオン・ポイント・テクノロジー
10) ファーイースト・ゲートウェー
11) ギャラクシー・サテライト・ブロードキャスティング
12) スマートーン・モバイル・コミュニケーションズ
ケーブルによる域外FTNS事業免許も2000年2月1日に免許条件を満たした13事業者に免許発給に関するLOI(レターオブインテント)を発給した。ケーブルによるFTNS免許には新規ケーブルの敷設条件が組み込まれており、今後、ケーブル建設保守、陸揚げ等に関する関係者との協議を終え、保証金の支払いに応じた段階で正式な免許が付与される。
ケーブルによる域外FTNS免許取得企業
1) アジア・グローバル・クロッシング香港
2) AT&T アジアパシフィック・グループ
3) BT香港
4) CTIインターナショナル
5) フラッグ・テレコム・アジア
6) グローバル・ワン・コミュニケーションズ
7) レベル(3)コミュニケーションズ
8) MCIワールドコム・アジアパシフィック
9) NTTコムアジア
10) PSIネット香港
11) CLPテレコミュニケーションズ
12) ユニコム・インターナショナル香港
13) ファーイースト・ゲートウェー
その他、HKCTV(I-cable)に対してもCATVを利用した通信事業への参入が認められている。
[携帯電話事業]
香港で携帯電話サービスを始めて開始したのは香港テレコムであるがハチソンの参入により競争が激化し、現在では6社が事業を実施している。携帯電話加入者数は2000年5月現在で400万人を超えたと推定される。直近3年間で年率平均46.1%増となり、固定回線増加率の平均4.1%増(加入者数390万人)を大きく上回っている。普及率は60%近くまで上昇している。香港最大の携帯電話事業者はハチソン・テレフォンで、加入者数は145万人を数える。間もなく、C&W HKT(香港携帯電話事業2位)も配下に入る。理由はC&W HKTがハチソングループ姉妹企業のパシフィック・センチュリー・サイバー・ワークス(PCCW)社に買収されるため。これにより携帯電話加入者は240万人を超える。
現在の携帯電話事業者は以下の6社であるが、方式はGSMが6社。CDMA、TDMAが2社によりサービスされている。
1) ハチソン・テレフォン(ハチソン・ワンポア70%出資)−シェア34%
−モトローラが30%出資している。NTTの資本参加も正式決定19%。
2) C&W HKT−シェア31%
3) スマートーン・モバイル・コミュニケーションズ−シェア18%
4) ニューワールドPCS(ニューワールドデベロップメント80%出資)−シェア7%
5) ピープルズ・テレフォン(中国政府系のChina Resources出資54.5%)シェア5%
6) Sunday(Distacom 香港 60%出資)−シェア5%
−シンガポール政府系の投資会社も出資。
来年の実用化が期待されている第3世代の携帯電話であるが、周波数の限界等から3−4社への免許付与に留まると見られている。現在事業を行っている6社がこれを競って取得することになる。但し、新規参入者にも門戸は開放されており、既存事業者もうかうかしてはいられない状況である。次世代免許は欧州を習って競売方式が採用される予定であるが、OFTAへの民間からの意見書提出ではハチソンを除く携帯電話事業者が競売方式作用はコストアップで消費者に価格を転嫁せざるを得なくなるとして反対している。当初、英国の3G免許の競売でこれを落札したハチソン・テレコムは、香港では競売方式は好ましくないと反対していたが、態度を一変させた。
・ 通信企業
(1) CCTテレコム:コードレス電話製造主体だが通信事業に集中する方向
香港ネット(ISP)を1998年3月に買収。その後、香港ネットの株式の内49%をNTTに売却。(国際接続コストがNTTにより安価に提供)
現在、NTT、CCT、香港ネットにより国際ゲートウェーライセンス申請
(2) 香港テレコム(C&W HKT):固定回線、国際通信、携帯、インターネット全ての事業を実施している業界最大手。出資はC&Wが54%、チャイナテレコムが13%。固定回線、国際通信、インターネットのシェアはトップ。携帯電話のシェアは2位。C&Wアジアがクリエイティブと共同でシンガポールのインターネット事業参入。WAPベースの無線インターネットアクセスサービス開始。
(3) iケーブルコミュニケーションズ:1993年に会員制CATV運営で設立。1998年までは市場独占権あり。1998年からインターネット接続サービス開始(ダイヤルアップ方式)CATV加入者には無料提供。
(4) パシフィック・センチュリー・サイバーワークス:1999年5月にパシフィックセンチュリーグループがトライコム社を買収して設立。サイバーポートプロジェクト担当。
(5) スマートーン:1993年に香港発のGSMサービス会社として設立。当初AT&T資本参加、その後引き上げ、BTが現在資本参加。PCS事業者を買収し、現在デュアルバンドサービス。携帯電話市場シェア第3位。ヤフーと提携しIスマート社というISP設立(1999年6月)。
(6) TVB(Television Broadcasts Ltd):1965年設立。地上波、中国語番組ではトップ。
(7) ドットコム・パシフィック:1999年10月設立。未公開企業。ILINK(データセンター管理運営、PCCWが80%出資)とAdMomentum(オンライン広告の企画製作)の2つの事業。
[HKTのPCCWによる買収]
C&W HKTの役員会はPCCWからの買収案を株主に推奨することで決議。7月3日に株主総会を開催し、最終協議予定。懸念材料は巨額の負債。短期的には1000億HKドルの負債を抱えると見られる。新会社は8部門に分離される予定である。PCCWはそもそもサイバーポート計画の立案者であるパシフィックセンチュリーグループの子会社で、サイバーポート開発で香港政府を契約している。
1) 広帯域インターネットによる消費者向けEC
2) 企業間EC部門
3) データセンター部門
4) IPバックボーン、衛星業務部門(テルストラからの資本参加)
5) 移動体通信部門(テルストラからの資本参加)
6) 固定電話事業部門(当面の資金源であり全権益を維持)
7) サイバーワークスベンチャーズ
8) サイバーポート及びそのインフラ事業部門
豪州テルストラは、PCCWと合弁事業(携帯電話とインターネット)で合意。テルストラは合弁に30億HKドルを投資する予定である。インテルとHKTもアジアにおけるEC事業(B-to-B及びB-to-C双方)で提携。消費者及び中小企業向けの広帯域インターネットで協力する。シンガポール、韓国、台湾、豪州でも同様に事業を展開したい考え。
香港のソフトウエア企業数及び従業員数とも順調に拡大しており、1999年においてそれぞれ、725社、15,000人に達している。香港内市場向けのエンドユーザ用ソフトウエア開発やいわゆるY2K対応需要が堅調であったため、順調に発展してきている。
表. 香港のソフトウエア企業及び従業員数の推移
|
年 |
ソフトウエア企業数 |
従業員数 |
|
1994年 |
500社 |
8,500人 |
|
1997年 |
663社 |
12,000人 |
|
1999年 |
725社 |
15,000人 |
出所:"2000 Man Power Study in Hong Kong Software Industry" by The Software Industry Information Centre, March 2000
創業時の平均従業員数(1社当たり)は、1994年の17名から1999年の21名へと増大している。
香港ソフトウエア企業はほとんどが小規模企業である。従業員数が10名以下の企業が全体の51%を、11名から30名の企業が32%を占めている。
表. ソフトウエア企業の従業員規模(1999年)
|
従業員規模 |
全体に占める割合(%) |
|
1−5名 |
24 |
|
6−10名 |
27 |
|
11−20名 |
24 |
|
21−30名 |
8 |
|
31−40名 |
6 |
|
40名以上 |
11 |
|
合計 |
100 |
出所:"2000 Man Power Study in Hong Kong Software Industry" by The Software Industry Information Centre, March 2000
今後、従業員数を増やす計画の企業が多く、平均して、2000年までに従業員数を約12%増加させると予想されている。
表. 2000における従業員の増員計画
|
増員計画 |
全体の会社数に占める割合(%) |
|
減員 |
1 |
|
変化なし |
35 |
|
1−5名増員 |
51 |
|
6−10名増員 |
8 |
|
11−15名増員 |
2 |
|
16−20名増員 |
2 |
|
20名以上増員 |
2 |
|
合計 |
100 |
出所:"2000 Man Power Study in Hong Kong Software Industry" by The Software Industry Information Centre, March 2000
1999年の従業員の62%がIT関係の職種についている。残りの38%は管理部門等の非IT部門で働いている。IT関係職種の26%が販売(Sales & marketing)に就いている。技術サポート業務は21%、プロジェクト・マネージメント・コンサルテーション業務は19%である。
表. ソフトウエア企業のIT関係の職種の業務別従業員数の割合(1999年)
|
職種 |
従業員数の割合(%) |
|
Sales & marketing |
26 |
|
Technical support |
21 |
|
Project management/consultancy |
19 |
|
Application programming |
13 |
|
System analysis |
10 |
|
System programming |
8 |
|
Web design |
3 |
|
Total |
100 |
出所:SIIC 2000
2000年において新規に増加する従業員の職種は、応用プログラミングが25%、技術差ポートが24%、販売が20%である。
表. 2000年における新規増加の職種の従業員数の割合
|
職種 |
従業員数の割合(%) |
|
Sales & marketing |
20 |
|
Technical support |
24 |
|
Project management/consultancy |
9 |
|
Application programming |
25 |
|
System analysis |
10 |
|
System programming |
6 |
|
Web design |
6 |
|
Total |
100 |
出所:SIIC 2000
2000における職種別従業員の増大率では、"Web design"が36%の増加、応用プログラミングが30%の増加となっている。今後、さらに急拡大すると予想されるインターネットや電子商業取引関係の業務が増え、これらの専門技術を必要とするIT技術者への需要が増大すると予想される。
表. 2000年におけるIT業務の業種別拡大予想
|
職種 |
当該職種における従業員数の増加の割合(%) |
|
Sales & marketing |
12 |
|
Technical support |
17 |
|
Project management/consultancy |
7 |
|
Application programming |
30 |
|
System analysis |
15 |
|
System programming |
12 |
|
Web design |
36 |
出所:SIIC 2000
1999年の平均退職率は、16%であった。離職者の79%がIT関連業務についていた者である。離職率は、技術サポート部門で最も高く21%、応用プログラミング部門で20%、販売部門で16%である。
表. 職種別の離職率(1999年)
|
職種 |
当該職種における従業員数の離職者の割合(%) |
|
Sales & marketing |
16 |
|
Technical support |
21 |
|
Project management/consultancy |
7 |
|
Application programming |
20 |
|
System analysis |
8 |
|
System programming |
8 |
|
Web design |
4 |
出所:SIIC 2000
従業員の1社での勤続年数は、2−3年である。
表. 従業員の当該会社での勤続年数
|
勤続年数 |
全従業員に占める割合(%) |
|
1年未満 |
17 |
|
1−2年 |
31 |
|
2−3年 |
30 |
|
3−4年 |
11 |
|
4−5年 |
5 |
|
5年以上 |
6 |
出所:SIIC 2000
各社は、従業員確保のために、高額給与体系、週5日制等の各種の対策を講じている。
離職者の77%がIT関連企業かつこれまでと同職種の仕事に就いており、17%がIT関連かつこれまでと違う職種に就いている。3%は、ITとは関係ない企業に勤めている。
多くのソフトウエア企業が、採用者に対し大学学士の学位を希望している。技術サポート業務及びWeb Design業務については、学位を期待していない。多くの企業は、採用者がIT資格(例:Microsoft, Novell)を取得していることが必要と認めていない。
今後、最も需要の高い技術分野は、"Internet/Intranet/Extranet"、"応用プログラミング"、"データベース管理"、"製品販売市場開拓"、"ネットワーク管理"である。
表. 今後、最も需要の多い技術分野(トップ10)
|
技術分野 |
回答者の比率 |
|
Internet/Intranet/Extranet |
70% |
|
Application programming |
48% |
|
Database management/administration |
47% |
|
Product sales/marketing |
47% |
|
Network management/administration |
47% |
|
Project management |
44% |
|
Business development |
38% |
|
Business management |
34% |
|
System analysis and design |
34% |
|
System programming |
31% |
出所:SIIC 2000
3年以下のプログラマーの給与(月額)は、平均13,600HKドル(約20万円)。経験3年−5年で、20,300HKドル(30万円)。給与は、2000年において、6.4%から12.0%で上昇することが予想されている。
表. IT職種別平均月額給与(1999年)及び2000年の上昇率(予想)
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IT職種 |
経験年数 |
平均月額給与(HK$) |
上昇率 |
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Project management / Consultancy |
7年以上 |
37,800 |
7.5% |
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5-7年 |
28,600 |
8.4% |
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5年未満 |
21,000 |
10.5% |
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System analysis |
5年以上 |
26,100 |
8.2% |
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3-5年 |
20,800 |
8.1% |
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3年未満 |
17,700 |
10.5% |
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Application programming |
3-5年 |
20,300 |
8.8% |
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3年未満 |
13,600 |
10.5% |
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System Programming |
3-5年 |
18,800 |
12.0% |
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3年未満 |
14,800 |
7.9% |
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Web Design |
1-3年 |
15,700 |
11.1% |
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Technical support |
5年以上 |
18,500 |
7.0% |
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3-5年 |
14,100 |
6.4% |
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3年未満 |
12,400 |
7.5% |
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Sales and marketing |
5年以上 |
25,100 |
10.4% |
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3-5年 |
18,300 |
8.2% |
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3年未満 |
13,400 |
8.5% |
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出所:SIIC 2000
情報技術者不足の状況であり、ほとんどのソフトウエア企業が、必要な分野の技術者の採用に困難があるとしている。
1999年では香港のソフトウエア企業の約3分の1(35%)が中国本土に事務所を有している。1997年時点で中国本土に事務所を有していた企業の比率は22%であった。香港のソフトウエア産業は中国本土との関係を深めつつあるといえよう。
中国本土での従業員数は6,095人(SIICサンプル調査結果)に達している。
9%の企業が中国本土へソフトウエア開発のアウトソーシングを行っている。内、4%は継続的にアウトソースを行っており、残りの5%はアドホック・ベースで実施している。中国本土の安い開発コストや中国本土の顧客へのサポートなどがアウトソースの理由である。しかしながら、中国本土へのアウトソース当たっては、「質の管理の困難」、「連絡の困難」、「連絡のための出張の時間・コストの損失」、「信頼を置けるパートナー確保の困難」等の問題に直面している。
IT教育に関しては、新時代に向けたITトレーニング5カ年計画を所有。現在のIT技術者関連指標は以下のような状況となっている。
@香港の大学でコンピュータ科学分野を卒業した学生数:19000名/年
AVocational Training Councilによる職業訓練校の卒業数:17000名/年
BEmployee Retraining BoardによるIT関連訓練を受ける人材:44000/年
IT関連人材の就職状況は、現在、民間IT産業は人手不足の状況にあり学生にとっては良い状況と言える。中小のIT企業は、IT人材にストックオプション等の優遇制度を与えており、若い人材もこれを好む傾向にあると言う。その一方で民間企業へIT人材が流れるため、大学に必要なリサーチ職員の確保は困難な状況になっている。香港中文大学が実施したIT人材調査では、IT専攻の卒業生の初任給は前年比8%増であり、最高では2万3千HKドルという破格のオファーもあるとのこと。大卒者の平均初任給は1.2万HKドルであるが、香港中文大学は他と比して、高額となっている。このままでは人材確保が困難となり、IT企業が香港から諸外国(同レベルならシンガポール)へ流出する可能性もある。不足しているエリアは、プロジェクトMgr、サイバーインフラネットワーク、プログラマー等々と指摘されている。
香港中文大学は、1968年からコンピュータコースを提供していたが、今から27年前の1973年、香港で初めて正式なComputer Science学部を設立した大学である。その後、1991年にエンジニアリング学部が設立され、1995年に現在のThe Department of Computer and Engineeringとなった。現在は、Computer Science学科とComputer Engineering学科の2つが設置されている。
なかなか面白い研究を実施している大学であり、大学というよりは研究所というような印象を受けた。残念ながら、私たちが訪問した時期は夏期休暇中であり、ひっそりとしていたが、本来であれば、研究に没頭する学生が大勢いたのではないだろうか。
現時点の学生数は、博士課程に約70名、修士課程133名、学士(コンピュータサイエンス学科)が267名、学士(コンピュータエンジニアリング学科)が161名、Minor in Computer Scienceが85名となっており、年間の卒業生は約150名前後である。
教授・助教授は24名で、30-40代が中心で比較的若い人材が主体である。外国人講師も米国から来年採用する予定である。教授陣の内、4名が香港中文大学卒業生、他は米、英、豪の大学を卒業している。ちなみに学部長はロンドン大学卒業。
香港には、現在7大学があり、その全ての大学で何らかのIT関連学部を設置している。ここ数年でいわゆるポリテクニック(高等専門学校)が大学に変化しているものも増えている。全ての大学で約90%の運営資金が政府から流れている。私立大学も一応存在するが、香港ではそれほどメジャーではない。
海外との協力プロジェクトであるが、様々な国と協力関係を持っている、例えば、米カーネギーメロン大学とはデジタル図書館の開発で協力している。中国本土の大学とは多数の協力がある。
ウェブベースによる授業実施は現在Ongoingである。1999年にITトレーニングセンターを設置し既にウェブベーストレーニングを実施している。大学の講義は基本的には英語ベースであるが、一部中国語(広東語)が利用されている。日本とは異なり、大学は3年制となっている。
同学部で開発したスマートカード技術は、訪問の2週間前に民間企業へ売却し、商用化が進んでいる。
15の研究室を持ち、マルチメディア関連技術等を研究している。同学部にはサインマイクロシステムズ社製スパコン2台、コンピュータグラフィックス専用SGIマシン、500台以上のパソコンを所有し、構内には100MのイーサネットでLANが組まれている。
両学科の主な研究テーマは以下の通り。
Computer Science学科:
1) インテリジェント・エンジニアリング
2) データベース・マルチメディア
3) グラフィックス(ヴァーチャルリアリティ)
4) EC、デジタルライブラリー、インターネット
5) Chinese Computing(中国語キーボード等)
Computer Engineering学科:
2) Reconfigrable Computing
3) VLSI、CAD
同大学での研究テーマ例
・ ロボット開発技術
・ クイックサーキットシステム
・ スマートカード(指紋認証システム)
・ マルチリンガルシステム
・ コンピュータグラフィクスを利用した医療システム
・ Uniweb(翻訳サービス)
写真:ロボット研究

香港では、中国本国からの技術者の移入に厳しく対応してきていた。7年間香港に居住すれば、Permanent Residenceの資格が与えられる。
2000年初めに、Admit ion IT talent プロジェクトを開始し、中国からの高級技術者の移入を推進することとした。しかしながら、現時点での応募者は20人のみである。応募者が予想以上に少ないことについては、いろいろな理由が考えられる。
香港情報技術放送省(ITBB)によれば、他のアジアの諸国に比した香港の優位性(ITBBによる)は、次のとおり。
1) 通信の自由化・競争導入を徹底したことによる低廉な通信料金の実現
国内通信事業者は4社。年末にはさらに6社が事業開始予定。
国際通信事業者は、140社。現在の海外との接続している通信容量は、44.1Gbps。これが、2002年には10倍になる。
モービル通信の3G方式は、2001年末にサービス開始。
2) 中国語と英語のバイリンガル社会であること。
3) 情報の流れが自由であること。
4) ファイナンシャル・センターであることにより、新規IT企業への資金が容易に集まる。
香港生産力促進局は、企業の生産性向上のためのサービスを提供する機関として1967年に設立された組織である。下部組織として
1) Product Development and Innovation Institute(PDII)
2) Institute of Information and Media Industries(IIMI)
3) Best Management Practices Institute(BMPI)
の3組織が設置されており、IT関連事業は主にIIMIで実施されている。
特に昨今ではEC推進支援を掲げ、IT関連中小企業に対するコンサルティングサービスやトレーニング、セミナーによる普及啓蒙等が主な業務となっている。これは香港政府ITBBとも協力して実施している。IIMIのキーサービスとして、本社ビル内に、「DigiHall21」という統合ITプレゼンテーションルームが設置されている。ここには、6つのブース(HKPCでは各センターと言っている)に分かれている。
@ Business Intelligence Center
A E-Commerce Center
B Software Industry Information Center
C Enterprise Resource Planning Center
D E-Community Center
E New Media Center
教育の情報化では5つの中学校を接続したオンライン情報交換システムが既に開発、実施されている。
HKPC自身及びその下部組織合計で約600名の従業員がおり、毎年4000社以上に生産性向上のためのサービスを提供している。事業資金は自社サービスによる収入が約60%、政府からの補助金が約40%。
写真:HKPCの「DigiHall21」
