ラオスの情報化の状況

1999年5月

CICC Singapore Office

1.ラオスの社会・経済概要

(1) 国土: 236,800Km2 (日本の本州とほぼ同じ大きさ)

(2) 人口: 460 万人(1996 ) 。毎年2.6%で増加。

(3) 言語: ラオ語( タイ語に近い。ラオスの人は、タイ語はほぼすべて理解出来る)

(4) 憲法: 19918 月憲法制定。

(5) 経済体制

  1986年以降、開放経済

  1997 ASEAN加盟

(6) 国際収支(1996 )

  貿易収支の赤字を外国援助及び海外からの直接投資によって埋め、総合収支の黒字を

維持している。

 輸出 32300万米ドル、 輸入 69000万米ドル

  貿易収支 −3 6700万米ドル、 総合収支    7100万米ドル

(7) 消費者物価上昇率

  1994年 6.8%、 1995 19.4%

(8) 一人当たりGDP

  1990 211 米ドル、1993 290 米ドル、1994335 米ドル、

1995350 米ドル、 1996年 395 米ドル

(9) 実質GDP 上昇率

  実質GDP 上昇率 7.1%(1995 )

(10)産業別GDP 比率

   農林水産業( 55.2 %)、鉱工業(18.5 %)、サービス業(24.0 %)、その他(2.3 %)

(11)主要な海外直接投資国と累積投資額(1997.12.22 現在)

  順位  国名    プロジェクト数  累積投資額( 百万米ドル)

   1   タイ      245       2,623

   2   米       41       1,483

   3   韓国      23        318

   4   豪州      44        286

   5   マレーシア   15        276

   6   仏       75        270

   7   台湾      34        71

   8   中国      66        56

  ・   ・       ・        ・

  ・   ・       ・        ・

  ・   ・       ・        ・

  15   日本      21        14

 

2.情報技術政策関連の政府機構

 ラオス全体の情報技術政策は、首相府科学技術環境部(STENO) が担当している。

 STENO 以外にも、各委員会、省庁が関係している。政府機構図は次のとおりである。

STENOの機構は、別添1のとおりである。

 

 <ラオスにおける情報技術政策関連の政府機構>

   ○ 首相

       国家計画委員会(SPC: State Planning Committee)

          (役割) 社会・経済開発5 カ年計画の策定

             社会・経済プロジェクトの承認

           社会・経済全体の管理

科学技術環境部

(STENO: Science Technology and Environmental Organization)

            (役割) 情報技術政策の実施(1996.2.12付け首相府令237/PMO)

             国家コンピュター計画の策定、IT標準(1996.6.12付け首相

府令385/PMO)

             IT研究開発、研修の実施、IT調査、IT標準の策定、

知的所有権問題

海外投資管理委員会

(FIMC: Foreign Investment Management Committee)

            (役割) ラオスへの外国直接投資プロジェクトの認可

              海外・国際機関との協力の監視

教育省 (MOE: Ministry Of Education)

            (役割) IT教育

商業省 (MOC: Ministry Of Commerce)

            (役割) 電子商取引

              ラオスでのコンピュター事業の認可

工業・手工芸省 (MOI:Ministry Of Industry, Handcraft)

           (役割)IT 工場の設立( 政府系のIT工場は未だ無い)

大蔵省 (MOF: Ministry Of Finance)

            (役割)IT 開発のための予算

 

 

3.ITマスタープラン

 STENO において原案が作成され、首相に提出されている。未だ、正式に決定していない。ITマスタープラン原案のポイントは次ぎのとおりである。

ITマスター・プラン原案のポイント>

(1) 教育と訓練

 ラオスにおいて、2000年までに必要となる情報技術者は1300人に達する。その内、半分以上がプログラマーであり、約1/4 がシステム・アナリストとなろう。

 情報技術分野の専門家を早急に育成する必要がある。

 そのため、

 i) 大学に情報科学部門を設置する。

 ii) プログラマや情報技術者の育成のため、2 年制の専門訓練制度を設ける。2000年までに、年間150 名から300 名の学生を受け入れる。

 iii)情報技術訓練センターを開設する。

 iv) コンピュター・ユーザ教育を実施する。

(2) 研究開発

 i)STENO 内に情報技術部門を設立する。

 ii) 教育、研究開発の分野におけるデータ交換ネットワークであるERDENet を構築する。

(3) 情報技術産業の育成

 i)国内ソフトウエア産業の振興

 ii) 優遇措置により情報技術多国籍企業の進出を誘致する。

(4) データ通信

i) 行政上の電子メール、統計情報収集の電子システム化を図る。

 

4.ラオスにおけるコンピュター利用の状況

 ラオスでのコンピュター利用は、数年前から徐々に始まっている。国内に約1 万台のパソコン、3 台のミニ・コンピュターが存在し、メイフレームは無い。コンピュターのほとんどが政府機関や国連、その他の国際協力機関によって購入されている。最近は、民間による購入も増加している。コンピュターは、ワープロ、統計処理のために使用されている。コンピュター教育・研修は、主に、使い方を中心になされており、ソフトウエア開発を実施できる技術者はほとんど存在しない。

 

5.政府機関のコンピュター利用

 1991年、STENO ラオス最初のLAN を導入した。LAN Novel3.12 Workstation Pentium 13320台のパソコンからなるネットワークである。

 その後、STENO の指導により各省庁でのコンピュター導入が徐々に始まっている。

 STENO においてコンピュター研修が実施されているが、政府職員を対象にコンピュターの使い方の初歩を教えている。

 

.コンピュター関連企業

 ラオスにおけるコンピュター関連のソフトウエア開発、機器販売、コンピュター研修企

業は、25社である。別添2のとおり。

 

.ラオスにおけるITの大学教育

 ラオスでの大学は、ラオス国立大学の1 校である。ラオス国家大学は、1995年設立。

教養過程2 年、専門過程3 年の5 年間で学部教育が終了する。医学部のみ7 年間である。学部学生は、現在4,000 名。技能教育生は、7,000 名。合計11,000名の学生である。

 教師・講師は、731 名。職員総数は1318名。アカデミック年度は、9 月から6 月。

設立が新しいため、現在の最高学年生は3 年生である。再来年には初めての卒業生が出る。大学院は無い。

  情報技術関連学部は、Faculty of Science内のComputer Science ProgramFaculty

of Engineering and Architecture である。Faculty of Engineering and Architecture

における電気工学科、Civil Engineering 科、機械工学科の学部生はそれぞれ毎年約40名。

200 台のパソコンを設置している。ほぼすべてが、海外援助プロジェクト関係のものである。

情報技術関連の教師は、2 3 名のみである。

 講義は、ラオ語によってなされている。教科書は、タイ語のものを使用している。

名古屋大学、明治大学、Tokyo University of Foreign Study と協力関係にある。

 ラオス国立大学の関連資料は、別添3のとおり。

 

.IT関係の国際協力プロジェクト

 日本を含む多くの国、国際機関が国際協力を実施している。

 シンガポール、マレーシア、ニュージーランドに、それぞれ援助による情報技術関連の

研修生を派遣している。

1996年から1999年に実施されているIT関連プロジェクトの一覧表は別添4のとおり。

 

.IT関連の海外直接投資

 韓国、マレーシア、豪州、仏等がIT関連の投資を行っている。海外からのIT関連への投資累計額は、1133万米ドルである。詳細は、別添5のとおり。

 

10.E-MAIL及びインターネットの状況

(1)E-Mail システムの状況

 カナダIDRC(International Development and research Center) の援助( 期間:1997.1.

-1999.3., 援助総額: 10万米ドル) により、E-Mailサービスが開始されている。サーバとしてサン・コンピュター( 記憶容量2GB 、電話4 回線) が、STENO 庁舎内に設置されている。運営は、STENO の職員5 名により実施されている。E-Mailアドレスが(-----@-----.la)のものはすべて、このサーバを利用したものである。

 ラオス宛のE-Mailは、提携先であるSing-Netのサーバに一時的に蓄えられ、これを、ラオス側から一日4 回、国際ダイヤルアップ方式により吸い上げている。

 サブスクライバーは、422 名。内、89名が政府機関。外国機関・人は229 名。外国機関、外国人の料金は、30米ドル/ 月。

 

(2) インターネットの状況

 現時点では、インターネット・サービスは実施されていない。

 パイロット・プロジェクトとして、STENO がインターネット・サービスを実施することが承認されている。政府は、このSTENO によるパイロット・プロジェクトの結果を見て、ラオスの社会・経済に与える影響を分析した後に、一般へのインターネット利用を許可するかどうかを決定する方針である。

 現在のところ、資金及び技術的問題により、STENO によるインターネット・サービス実施のメドは立っていない。

また、他の途上国において重要な役割を担っている通信事業者として、ラオ・テレコム

が存在するが、資本金の60% をタイ資本であるシナワトラ・グループが所有している。ラオ・テレコムによるインターネット・サービス実施計画は、料金が高すぎるとの利用者の反発から中断している。