インドのIT事情について
平成12年7月21日
CICCシンガポール
1.概況
インドのソフトウエア産業は大変な活況です。若者の一番の夢は、ソフトウエア・エンジニアになることだそうです。
大手のソフトウエア企業は、ソフトウエア製品の質の高さを売り物にしており、もはや賃金の安さが特徴ではありません。ある企業では、インド国内での作業に対し、1人月2400米ドル〜3000米ドルの料金であるとしていました。海外作業(顧客先)は、さらに高額になると思われます。
海外の顧客の近くでの開発部隊(On−Site)とインド国内の開発部隊(Offshore)が連携して、ソフトウエア・システムの開発を行うのが、新しいビジネスモデルとなっている。
2.インド基本データ
国 名:インド(Republic of India)
独 立:1947年 8月15日
首 都:ニュー・デリー
面 積:3288 千平方キロメートル(日本のおよそ9倍)
人 口:10億人を突破
人 種:インド・アーリヤ族、スキト・ドラヴィダ族、モンゴロ・ドラヴィダ族、モンゴロイド族、ドラヴィダ族、原始部族
言 語:連邦公用語はヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が17
宗 教:ヒンドゥー教徒82.7%、イスラム教徒11.2%、キリスト教徒2.6%、シク教徒1.9%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.5%
識字率 :52.1%(91年国勢調査)
略 史:インダス河流域に興った世界の四大古代文明のひとつインダス文明により歴史が始まる。アーリヤ人の侵入等、幾度かの統一、分割のあとイスラム教徒の支配を経て19世紀中頃にイギリスの支配確立、植民地化。1947年パキスタンと分離独立。
首相が全面に出ているが、国家元首は大統領制、現在K.R.ナラヤナン大統領が就任している。
経済:インドは1991年以降、経済自由化政策を着実に実行し、貿易・投資面での規制緩和をはじめ、税制・金融改革、民営化の推進等の経済改革を急速に進めてきた。
主要産業:農業、工業、鉱業
GNP:3,574億(1997年:世銀)
一人当たりGNP:370(1997年:世銀)
GDP成長率:5.8%(98年度推定値)
総貿易額: (95年度)(96年度)(97年度)
(1)輸出 318.0 334.7 339.8
(2)輸入 366.8 391.3 407.8 (単位:億ドル)
3.ィンドの情報技術政策アクション・プラン
首相府の下に設置された国家情報技術・ソフトウエア開発タスクフォース(National Task Force on Information Technology and Software Development)は、情報技術アクション計画を作成し、1998年7月に提言した。徐々に、この提言が実現している。
(1)概要
1998年3月には、Shri Atal Bihari Vajpayee首相は、情報技術を国家目標の5つの重点分野の一つとする旨発表している。1998年5月には、首相府は、インドにおける情報技術の急速な発展の障害を除去し、さらにその発展を促進するために政府のとるべき施策について、国家情報技術・ソフトウエア開発タスクフォース(National Task Force on Information Technology and Software Development)に対し、情報技術及びソフトウエアの開発に関する諮問を行った。 これを受け、同タスクフォース(議長: Shri Jaswant Singh計画委員会副委員長、共同議長:Shri N. Chandrababu Naiduアンドラ・プラデッシュ州首相、M.G.K. Menon前科学技術大臣)は、情報技術アクション計画を作成し、1998年7月に発表した。同アクションプランでは、インドの情報技術及びソフトウエアの発展を促進するための108の提言を行っている。
同提言は、通信、金融、銀行、歳入、商業、電子、人材開発、国防、地方開発などの広い分野をカバーしている。また、情報インフラ、インターネット接続、ソフトウエア開発、電子商業取引、研究開発、人材研修、教育の必要性を強調している。
ソフトウエアの輸出は、同タスク・フォースはインドの本分野における優位性を十分に注目している。したがって、アクション・プランでは、インドの輸出者が世界のソフトウエア市場において高い占有率を短期間に収めるためのいくつもの提言を行っている。
<タスクフォース関連の動き>
1998年5月26日:首相府がタスクフォースへ諮問。
1998年6月12日、13日、15日:タスクフォースの準備会合開催
1998年6月16日:第一回会合開催
1998年6月18日〜7月:各分野からのヒアリング
(2)アクション・プランの内容
次の点を基本事項として整備することを提言している。
i) 情報インフラ整備
光ファイバー網、衛星通信ネットワーク、無線ネットワークにより、切れ目のないLII(Local Informatics Infrastructure)、NII(National Informatics Infrastructure) 、GII(Global Informatics Infrastructure)を設置し、世界水準の情報インフラの整備を早急に実現する。
具体的には、1998年の光ファイバー・バックボーン75,000Km、VSATの通信容量合計の300Mbps、衛星通信容量の3000Mhzを年率30%で拡大する。
ii) IT輸出目標-50
2008における世界のIT産業規模が2兆米ドルとなることを前提に、インドのITソフトウエア及びサービスの輸出を500億米ドルとすることを目標とする。
そのための税制インセンティブなどを実施する。
iii) 2008までにすべての国民にITアクセスを提供する
2008年までにインターネット接続可能なパソコンの普及率を50人に一台とする。(1998年では、500人に一台)。
現在の60万以上の電話局を各種のマルチメディアを提供する公共通信・情報センターに変革する。
国民の情報技術アエアーネス・リテラシーを高め、国民対象のIT研修を実施する。
2003年までにすべての学校、大学にインターネットを普及する。
行政サービスの情報化を図る。全ての省庁は、自身の5カ年情報化計画を策定する。年間予算の1〜3%を情報化に当てる。
Cyber Law Committee によって作成されたサイバー・ロー案を早急に政府原案として承認する。
4.インドのIT産業の状況
2000年7月に発表されたNASSCOM (National Association of Software and Services Companies)の調査結果によれば、インドのIT産業の近況は次のとおり。インドのITソフトウエア・サービス産業は、驚異的な速度での成長を続けている。
(1)概況
インドのIT市場は、ソフトウェア産業が牽引していることは間違いないが、ここ2年程度のインターネットやE-Commerceブームにより一般市民の間にもIT機器が浸透してきている。現在インドにおけるIT消費の対GDP比は1%に満たないが、2003年までには2.5%に拡大し、米国の3.5%(現時点)に少なからず近づくと見られている。
IT産業規模は2000年3月末時点で86億USドルとなり、直近5年間の平均成長率は約40%と非常に大きな伸びを示している。
<インドのIT産業規模の推移>
|
年度 |
市場規模(USドル) |
|
1994-1995 |
20.4億ドル |
|
1995-1996 |
28.8億ドル |
|
1996-1997 |
38.0億ドル |
|
1997-1998 |
50.3億ドル |
|
1998-1999 |
60.4億ドル |
|
1999-2000 |
86.0億ドル |
(出所:NASSCOM)
IT産業全体の売上に対するソフトウェア産業の比率は、2000年3月末時点で約67%と最も大きな分野である。
<IT産業に占めるソフトウェア産業比率>
|
|
2000年3月末 |
2008年目標 |
|
ソフトウェア産業 |
57億USドル |
870億USドル |
|
IT市場全体 |
86億USドル |
1400億USドル |
(出所:NASSCOM)
過去10年間に、IT製造業分野は年平均約30%の成長。ソフトウェア企業の対売上高比研究開発比率は3.2%(1998/3-1999/4年度)。昨年度にインド国内で販売されたPCは82万台で、1000人辺りのPC普及率は3.2台となった。これが2000年3月末時点では、国内PC設置台数は430万台となり、人口約10億人とすれば1000人辺り4.3台のPC普及率へと拡大している。
<IT市場動向と2008年目標>
|
分野 |
2000年3月1日 |
2008年 |
|
PC数(累計) |
430万台 |
3000万台 |
|
インターネット・契約者数 |
77万 |
3500万 |
|
インターネット・ユーザー |
320万 |
10000万 |
|
有線TV契約者数 |
3700万 |
7000万 |
|
固定電話数 |
2600万 |
12500万 |
|
TV数(累計) |
7500万 |
22500万 |
(出所:NASSCOM)

(a) IT国内市場
インドの国内IT市場は、1997-98年度に初めて10,000クロール(1000億ルピー)を超え、約US25億ドルとなり1998-1999年度には前年比20%増のUS30億ドルとなった。

インドのITソフトウエア及び同サービス産業の1999-2000年期の売上は、対前年比53%増の57億米ドルに達した。うち、輸出額は、対前年比51%増(米ドルベース)の40億米ドルであった。このペースで行けば、2000-2001年期の輸出額は、63億米ドルに達すると予想されている。
特に、1999-2000年期での特質すべきことは、Fortune誌の世界トップ500社の内185社がソフトウエア開発をインドに発注していることである。
また、上場しているインドのソフトウエア企業の株式の2000年6月30日の時価総額は、550億米ドルに達したと推定されている。なお、1999年1月の同時価総額は、40億米ドルにすぎなかった。
ソフトウエアの研究開発費の全経費に占める割合は、1997-1998年期の2.5%から、1999-2000年期には3.4%となっている。また、海外からのソフトウエア研究開発の受注額は、2.2億米ドルとなっている。
1999-2000年期のいわゆるY2K対策売上は、輸出額の12%の4億8000万米ドルであった。インドのソフトウエア産業は、1996年から1999年の間で、Y2K対策として、25億米ドルの売上を上げたことになる。インドのソフトウエア産業は、IT技術者を電子商業取引やASP、ITサービスなどの分野に再研修によって振り向けている。
今後、インドのソフトウエア産業は電子商業取引ソル−ジョン事業で急拡大を継続することを目指している。NASSCOMとMackinseyの共同調査(1999年)によれば、インドは2008年までに、電子商業取引ソル−ジョン分野で100億米ドルの収入を上げるだろうとされている。なお、1999-2000年期の電子商業取引ソル−ジョン分野のソフトウエア輸出額は、5億米ドルであり、翌年度には14億米ドルになると予想されている。また、前述の共同調査では、ITによって可能となるビジネス(例えば、Call Centre, Data Processing, Back Office, Web Content development, Animation)によって、2008年までに100万人の新規雇用を創出し、170億米ドルの売上を可能とするとされている。
インドのソフトウエア企業300社のうち、170社がすでにISO9000認定を取得しており、さらに、SEI CMM (Software Engineering Institute Capability maturity Model)のレベル5を取得している全世界のソフトウエア企業23社のうち、インド企業は15社を占めており、インドのソフトウエア開発の質の高さが、世界的に認められて来ている。
表. インドのソフトウエア産業規模の推移(1995-2000年度、単位:米億ドル)
|
年/分野 |
国内市場向け |
輸出向け |
合計 |
|
1995-96 |
5 |
7 |
12 |
|
1996-97 |
7 |
11 |
18 |
|
1997-98 |
9 |
18 |
27 |
|
1998-99 |
13 |
27 |
39 |
|
1999-00 |
17 |
40 |
57 |
|
2000-01(推定) |
25 |
63 |
88 |
国内市場も着実に発展している。ルピ−ベースでの1999-2000年期の国内ソフトウエア市場の対前年成長率は45%であった。これは、政府のコンピュータ化、Y2K対策、ソフトウエア輸入税の撤廃、不法コピー防止法の施行、民間企業の需要増によっている。特に、政府のコンピュータ化が進展しており、26州のうち、19州においてIT政策が発表されており、他の多くの州においてITタスクフォースが設置されている。不法コピーは、全体の59%にまで減少してきている。
149の新規及び改良ソフトウエアの販売がインド企業により開始され、131の同ソフトウエアが海外企業により開始された。
国内市場の分野別の成長率は、ERP分野23%、電子商業取引ソル−ジョン200%、CAD/CAM41%、銀行関連ソフトウエア70%であった。
Nasscom-Mackinseyの共同調査(1999)では、2008年にはインドのITソフトウエア・サービス産業は870億米ドル規模になることが可能としている。
(2)ソフトウエア輸出の動向
ソフトウエアの輸出で特質すべきことは、1999-2000年期の輸出額の40億米ドルは、インドの全輸出額の10.5%に達していることである。5年前には、この比率は2.5%にすぎなかった。2500万米ドル以上を輸出しているソフトウエア企業は、37社である。1992-1993年期では、この数は8社であった。
表. インドのソフトウエア輸出額の推移
|
年度 |
輸出額(米百万ドル) |
|
1995/96 |
737 |
|
1996/97 |
1,085 |
|
1997/98 |
1,750 |
|
1998/99 |
2,650 |
|
1999/00 |
4,000 |
|
2000/01 |
6,300(予測) |
1999-2000年期には、インドのソフトウエアは、全世界95カ国に輸出されている。62%が北米向け、23.5%が欧州向け、3.5%が東南アジア、同率が日本向けである。ソフトウエア輸出を行っているインド企業は1250社であり、2000-2001年期には1600に増大すると予想されている。トップ25社で、ソフトウエア輸出の61%を占めている。
米国でのOn-Site開発(インドからの人材派遣により、仕向け国内でソフトウエアを開発すること)は、多くは米国のVISA(H1B)発給数に依存している。1999-2000年期の同VISA発給数は115,000に拡大されたが、2000年3月にはすべて使い切ってしまっている。米国議会では、2000年から2002年までの年間VISA(H1B)発給数を20万の拡大する法案が討議されている。
特に、NASSCOMでは、欧州向けのソフトウエア輸出に注力しており、NIESA (Nasscom's India Europe Software Alliance) プログラムによって、1999-2000年期の欧州向けソフトウエア輸出が23.5%増加している。欧州向けの中では、英国向けが最も大きい。
さらに、日本向けの輸出拡大のため、NINJAS (Nasscom's India Japan Software Alliance)プログラムをスタートしている。1999-2000年期の日本向け輸出額は、1億4000万米ドルであったが、本プログラムにより、2002-2003年期には5億米ドルとすることを目指している。
表. インドのソフトウエア輸出の仕向け国別比率(1999-2000)
|
輸出先国 |
比率(%) |
|
北米(米、カナダ) |
62.0 |
|
欧州 |
23.5 |
|
日本 |
3.5 |
|
東南アジア |
3.5 |
|
西アジア |
1.5 |
|
豪州・NZ |
1.5 |
|
その他 |
4.5 |
|
合計 |
100.0 |
インド国内で輸出向けソフトウエアを開発「Offshoreソフトウエア開発」は、確実の増加しており、1999-2000年期の全輸出に占める割合は42%となった。On-Site開発は58%を占めている。なお、1991-1992年には、On-Site開発は95%を占めていた.
Offshore開発の拡大とともに、ソフトウエア企業の海外へのデータ通信量が急拡大していると考えられ、2000年6月30日現在で、ソフトウエア企業が契約している64Kbps及び2Mbps以上の専用回線数は1200回線に達している。この数字は、1992年には10回線に過ぎなかった。
(3)ソフトウエア企業の動向
また、1999-2000年期には、Satyan Infoway社がインド最初のNASDAQ上場ISPとなった。なお、インド最初のNASDAQ上場ソフトウエア企業は1999年3月のInfosys Technologies社である。今後18カ月以内に、さらに20社が海外の証券市場に上場すると見込まれている。
表. インドの主要ソフトウエア及びサービス企業
|
|
|
1999-2000年度輸出額(億米ドル) |
|
1 |
Tata Consultancy Services |
4.2 |
|
2 |
Wipro Technologies |
2.4 |
|
3 |
Infosys Technologies |
2.0 |
|
4 |
Satyam Computer services |
1.54 |
|
5 |
HCL Technbologies |
1.47 |
|
6 |
NIIT |
1.3 |
|
7 |
Silverline Technologies |
1.0 |
|
8 |
Cognizant Technology Solutions |
0.97 |
|
9 |
Pentamedia Technologies |
0.91 |
|
10 |
Pentasoft Technologies |
0.82 |
|
11 |
Patni Computer Systems |
0.69 |
|
12 |
IBM Global Services India |
0.63 |
|
13 |
DSQ Software |
0.61 |
|
14 |
Mastek |
0.56 |
|
15 |
Mahindra British Telecom |
0.54 |
|
16 |
HCL Perot System |
0.49 |
|
17 |
I-Flex Solutions |
0.45 |
|
18 |
Tata Infotech |
0.44 |
|
19 |
Zensar technologies |
0.43 |
|
20 |
Birlasoft |
0.38 |
43Rs/US$
地域別には、ムンバイ・プネ地域、バンガロール地域、ハイデラバード地域、チェンナイ地域がソフトウエア開発の中心となっている。
(4)主なソフトウエア企業の概要
a) Wipro社
50年以上前に会社創設。当初は植物オイルを製造していた。20年前からIT分野の事業を開始した。1999年の売上高は、5億3200万米ドル。従業員は1万人。うち、技術者6700であり、そのうち、博士850名、学士3750名、コンピュータ学士650名、MBA300名。
東京に事務所を有する。東京の事務所は職員40名程度。
1999年の売上のうち、ITシステム開発(Wipro Technologies部門)はほとんどが海外向けで売上高は2億6000万米ドル。製品品質レベルでは、SEI-CMM5を取得している。なお、このレベル5を取得した世界最初のソフトウエア企業となった。通信ネットワークシステムの分析・開発も行っている。今後、通信(無線)、embedded、Datacom(広帯域、ATMなど)の3部門を重点としている。海外からの収入の70%が米国、20%が欧州、10%が日本である。開発部隊は、インド国内ではハイデラバード、チェンナイ、バンガロールなど、米国ではアリゾナ、サンタクララなど。主な、顧客ごとでは、GE向けに750名、ノルテル向けに400名、ルーチェント向けに300名、シスコ向けに100名の技術者が専任している。日本向けと米国向けでは、仕事の行い方に大きな違いがあり、On-site開発(客先国内での開発)対Offshore(インド国内での開発)の比率は、米国が20%:80%、日本が5%:95%。日本の国内(On-Site)での要求仕様作成段階から有料でインドIT企業を参画させないと、インド向けの日本からのソフトウエア開発の発注量は増えないと考えられる。
もうひとつの主要部門はWipro Infotech部門であり、国内向け中心に売上高2億米ドル。サンマイクロ社、HP社やエプソン社向けの部品(ASICや通信機器のシステム・チップ)を製造している。昨年から、Embedded製品を手がけ始めている。
今年、3000名を採用する。毎年の退職率は18%程度。
b) MASTEC社
1982年設立。1999-2000年期の売上額は、5800万米ドル。年率60%で成長してきており、今後3年で3億米ドルとすることを目標としている。売上の98%が海外市場向け。
国内作業の比率は、売上全体の54%。今後、同比率を58%に高めたい。
米国向けが売上の60%、欧州向けが同34%。今後、日本向けの拡大を目指している。浜松町に支店を設置している。ムンバイ(ボンベイ)証券取引所に上場している。
従業員は約1000名。米国向けは、米国子会社形態で対応している。同子会社は、従業員350名。内、米国人が半分、残りがインド人。英国向けは、英国子会社形態で対応している。同子会社は、従業員300名。
昨年は、200名採用した。今年は、350名採用すること予定。退職率は、年率20%以下。ソフトウエア製品の品質を特徴にマーケッチィングしている。既に、技術者の給与が高くなっている。インド最初の従業員ストック・オプション導入企業である。
(5)インドの情報化の進展動向(インターネット、通信分野の動き)
a) インターネット
統計によって数字に差はあるが、NASSCOMが発表しているインドのインターネット加入者数は、2000年5月末時点で95万人、利用者(ユーザ)数は325万人となっている。ISPは約60社がサービスを開始しており、最大プロバイダーは、インド通信事業最大手のVSNLである。1998年まではISP市場はVSNLの独占であり、共同が導入された今でも、加入者数の75%近くをVSNLが押さえている。ただ、最近になって、Caltiger社がインターネット接続無料サービスを開始したことで加入者が殺到しており、既に全体の約20%に当たる20万人の加入者を確保したとの噂もある。今後、サービスや価格競争の激化により、VSNLの独占は崩れていくと見られる。今後のインターネット市場だが、2003年には加入者6百万人、利用者は1600万人と、急拡大が見込まれている。
<インターネット市場の推移(単位:人)>
|
|
加入者数 |
利用者(ユーザ)数 |
|
1995年8月時点 |
2,000 |
10,000 |
|
1996年3月末 |
50,000 |
250,000 |
|
1997年3月末 |
90,000 |
450,000 |
|
1998年3月末 |
140,000 |
700,000 |
|
1999年3月末 |
280,000 |
1,400,000 |
|
2000年3月末 |
770,000 |
2,800,000 |
|
2000年5月末 |
950,000 |
3,250,000 |
|
2001年3月末 |
1,600,000 |
5,000,000 |
|
2002年3月末 |
3,500,000 |
10,000,000 |
|
2003年3月末 |
6,000,000 |
16,000,000 |
(出所:NASSCOM)
b) 通信事業
固定電話の普及率は、首都圏で16.4%、地方で2.1%、全国平均で2.2%である。
携帯電話事業は、最近、次の変化が起こっている。サークル(ほぼ州単位)の携帯電話事業者数2社に追加して3社目としてDOT(Department Of Telecommunications)又はMNTLが認められたこと。新規事業者のライセンス料金を総収入の17%とするRevenue Share化したこと。料金体系を低下させたこと。加入者数は、1999年12月末で146万、普及率は0.15%である。今後、急速の普及すると見込まれている。
国内通信を行っているDOTは、2001年4月には公社化される予定である。また、国際通信公社VSNLは2004年に民営化を検討することとされている。これまで、DOTとMTNLによって独占されてきた国内基本通信事業は1998年に自由化され、入札が実施された。全国21サークルのうち、5サークルにて新規参入者の事業が開始されている。
国内長距離通信事業に関し、2000年7月15日、パリジャイ首相は突然、同年8月15日自由化を断行することを発表した。参入料金は無料、ライセンス料はRevenue Sharing方式、国道・州道沿いの掘削権は無料提供という新規参入者に有利な内容である。同時に、国際通信についても自由化が行われる事となっている。
5.電子商業取引関係
NASSCOMの調査によれば、インドのE-Commerce市場は、1999-2000年度に450クロール(約US1億ドル)となり、今年は約7.7倍の3500クロール(約US7.8億ドル)と予想されている。インドのPC市場は家庭向け市場が伸びてはいるものの、電子商取引となると、まだ先の話である。EC市場規模を見ても分かるとおり、昨年度のB2C市場は全体の12%弱となっており、今後もB2B市場中心で伸びていくと予想されている。
<E-Commerce市場規模>
|
|
EC取引高 |
内 B2C |
内 B2B |
|
1998-1999 |
131クロール (約US2912億ドル) |
12 (約US267万ドル) |
119 (約US2645万ドル) |
|
1999-2000 |
450クロール (約US1億ドル) |
50 (約US1111万ドル) |
400 (約US8889万ドル) |
|
2000-2001 |
3500クロール (約US7.8億ドル) |
300 (約US6667万ドル) |
3200 (約US7.11億ドル) |
|
2001-2002 |
15000クロール (約US33.34億ドル) |
1800 (約US4億ドル) |
13200 (約US29.34億ドル) |
2000年春にインドIT法案が国会で可決され、8月に施行される予定となっている。電子文書にも紙文書と同様の法的効果を与え、電子署名も同様の扱いとなる。それ以外にもインド政府は、E-Commerce取引が軌道に乗るまでは、課税しない方針を明らかにしており、産業界からも評価されている。
インド企業のE-Commerceによるオンライン取引比率は、2003年までに2%、2008年までに全体の8%と見込まれる。1999-2000年度におけるインターネット及びE-Commerce関連ソフトウェア・サービスの輸出高はUS3.4億ドルで、全ソフト・サービス輸出高US39億ドルの約9%となっている。インドソフトウェア企業は、Y2K対応によるフィーバーが去った後、E-Commerce関連ソリューション販売は大きな目玉であるとし、e-ビジネス、E-Commerce関連アプリケーションの販売高が、2002年までにUS10億ドルとなると見込んでいる。又、ソフトウェア産業のE-ビジネスからの売上高は、2008年にUS100億ドルとなると見られる。
ソフトウェア産業がE-Commerce分野に人材、資金を投入し電子商取引戦略を活発化させ、IT法案が国会で可決されたとは言っても、いまだ、E-Commerceの為の環境整備、インフラが充分機能しているとは言い難く、インドのEビジネス発展にはまだ若干時間がかかると見られる。
6.ィンドにおけるIT人材教育の状況
(1)概要
インドにおけるIT技術者数は増加してきている。今後、IT産業の急速な発展を支えるため、さらなるIT人材の育成に官民を挙げて力を入れている。
表.インドのソフトウエア技術者数の推移
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1985年 |
1990
年 |
1996
年 |
2000年 |
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6,800 人 |
56,000 人 |
160,000 人 |
200,000人 |
出所:NASSCOM他
(2)IITボンベイの概要及びインドのIT技術者の概要
IIT(Indian Institute of Technology)のコンピュータ科学スクールのDeepak B. Phatak教授から聴取したところ、インドのIT人材教育の状況は次のとおりである。
インド国内のコンピュータ科学学科を有する大学は約300校である。教育の質は大きく異なっている。毎年、1万2000人〜1万4000人がコンピュータ科学学科を卒業している。
現在、インドには、20万人のIT技術者がいるといわれている。インドのIT産業は、毎年6万人の技術者を採用している。当然、コンピュータ科学学科の卒業生のみでは不足しているので、他の学部卒業生をさらに教育している。コンピュータ応用科学の修士コースは250校で有しており、毎年、8000〜1万人が卒業している。
IITは、全国に5つのキャンパスを持っている。IITボンベイでは、コンピュータ科学スクールが設置されており、修士(1.5年間制)を毎年15名づつ採用している。校舎内に、IT分野の民間企業と共同でスタートアップ事業を行うビジネス・インキュベーション・ラボを有している。現在、6社が事業を行っている。入居の条件は、事業化に当たって、株式の3%を学校側に提供すること。
IITボンベイでは、IT分野のリーダー育成を目標としている。IITボンベイのコンピュータ科学学科では、毎年、学部生(4年制)が40人〜45人、修士生(1.5年制)が45人入学している。教授陣は26人。
(3)NCST (National Centre for Software Technology、ムンバイ)の概要
情報技術省の下部組織である。技術職員約45名。事務職20名。
IT技術者の教育を重視した活動を行っている。
NCSTにて及び実施しているコースは、次の3種類である。i) PGDST(Post Graduate Diploma of Software Technology、1年コース、年間入学生750人), ii) APGDST (Advanced PGDST、1年コース、入学生250人), iii) FPGDST (Full-time PGDST), iv) PGDIT (ネットワーク技術分野)。
CST (Certificate of Software Technology)試験を1993年頃から実施しており、年間、9000人が受験している。CST試験の合格を、NCST、IIT、SNDT、ゴア大学が入学条件としている。
(4)民間教育機関の概要
民間におけるIT教育機関大手企業は、NIIT社とAptech社の両者で、インド全体のそれぞれ40%を占めている。Aptech社の研修事業については、概要は次のとおりである。
1986年設立。現在、1400の国内学校、海外30カ国に90校を運営又はフランチャイズ経営している。毎年30万人が卒業している。1999年の売上高は、約9500万米ドル。このうち、70%が研修事業であり、残りの30%がソフトウエア開発事業からのものである。
短期コース、1年コース、2年コース、3年コースがあり、Diplomaを出している。
(5)インド科学技術大学 (IIS: Indian Institute of Science)について
1909年設立。所在地はバンガロール。学部は無く、修士及び博士課程の学生1600名。うち、1000名が博士課程。43の学科からなっている。学部は、バイオ科学学部、化学学部、数学・物理学部、機械技術学部、電気学部、情報科学学部の6つ。研究及び教師が550名。
年間、200〜250の民間との共同プログラムを実施している。年間予算は、約35百万米ドル。
IIS内にSERC (Super computer Education & Research Centre)が設置されている。IBM製のスパコンSP-II他が設置されている。LGやノキヤ、モトローラなどとの共同研究プロジェクトを実施している。年間予算は、1500万米ドル。政府予算は、全体事業費の52%を占める。残りは、民間又は政府プロジェクトの予算を受託。
7.バンガロールの国際ハイテク・パーク(ITP: International Tech Park, Bangalore)について
(1)概要
本施設(工業団地)建設の根拠は1992年の非同盟諸国会議でインドのラオ首相、シンガポールのゴー首相との会談時に端を発する。1994年6月に講じ開始。2000年1月竣工式典が開催された。
これによって、インドの技術、市場、資源をシンガポールの高度なインフラ整備、高水準、高品質および世界市場への浸透に結び付けたいという希望から実現を見ることになった。カルナタカ州はインドのシリコンバレーと呼ばれており、AT&T、IBMを始めとする企業が集まっている。また、IT技術者を毎年6千人生み出し、人材的にも豊富である。
ITPはバンガロール市内から車で約30分。敷地27ヘクタール。完成時はオフィス17万2千平方メートル、生産スペース13万5千平方メートル、住居用アパート、カントリークラブ等が完備する。現在はフェイズ1が終了。VSNL社の衛星基地を持ち、高速通信が可能(2Mbps x 100〜200回線の容量がある)。生産されたものはすぐ隣で通関、出荷できる。発電システム(3MWを3基)を持ち、70%の電力を自己供給できる。市中からは30%を調達している。
次の3社による合弁事業として実施されている。インド最大企業であるタタ・グループ出資の投資促進部門であるタタ・インダストリー(株)が40%、シンガポール・インフォメーション・テクノロジー・パーク・インベストメント(株)が40%、カルナタカ工業地区開発庁が20%。シンガポール・インフォメーション・テクノロジー・パーク・インベストメント(株)はテクノロジーパーク、センバワン・インダストリアルを始めとしたシンガポール企業連合であり、JTC(Juron Town Corporation)が主導している。
(2)入居企業
現在のTech Park入居決定企業は88社であり、その約70%がIT関連企業である。既に、第一期分(オフィス・スペース120万平方フィート)はすべて完売している。そのうち、64社が事業活動を開始している。主な入居企業は、Siemens Components、Hitachi Micro Systems Asia、Hitachi Asia、Tata Consultancy Services、Singapore Technologies、The Singapore Software Center、Rotary Engineering、RSP Architects, Planners and Engineers、Singapore Medical Centre、Times Bank、Gemplus Technologies、SAP AG、Sony。大型入居企業であるSAP社は、3フロア−を占有している。
現在の入居企業の従業員数は約3000名。近々のうちに4500名に増大する予定。
日系では、5社(サンヨー、ソニー、マキノ、シャープ、日立)が入居している。
価格は、オフィスレンタル方式で、月額50ルピー(約US$ 1.2)/平方フィート及び共役費15ルピー/平方フィートの合計月額65ルピー(約US$1.5)/平方フィート。レンタル期間は、通常5年―10年。
(3)第二期計画
現在、第二期工事の最終設計段階であり、今後数ヶ月内に工事に着工する予定である。工事は、12−15カ月で完成する予定。
マルチパーパスのテナント・ビル一棟(オフィス・スペース、60万平方フィート)とテナントが独自に建物を注文できる土地(6区画)の販売も行う。
(以上)